むつ市議会議員の高橋です。
むつ市にある使用済み核燃料中間貯蔵施設に、「共用化」の動きが進んでいます。
共用化とは何なのか、なぜダメだと思うかについては、過去の記事や動画をご覧ください。


今回お伝えしたいこと。
それは、事業者は「共用化はしない」とずっと説明してきたということです。
立地を決めた20年前から。
それが今になって、施設が稼働し使用済核燃料が搬入された後になって、共用化すると言い出すのはズルいとしか言いようがありません。
これまでの説明がウソだったことになるわけですから。
全国の原発から使用済核燃料が次々と搬入されたら、むつ市が核のゴミ捨て場にされるかもしれない。
そういう懸念があるから、「東京電力と日本原電の2社からのみの搬入」ということに、市民も関係者もこだわってきました。
そして、「全国からは搬入しない、あくまで2社だ」という説明を信じて、中間貯蔵施設の立地が決まったわけです。
その前提を覆すのであれば、そもそも中間貯蔵施設の立地から、やり直しのはずです。
なぜなら、
「全国の原発からは搬入されない=核のゴミ捨て場にならない」だから立地を認めるというロジックは、
全国から搬入されるのであれば、立地を認めないということになるからです。
議論の前提がそもそもウソならば、事業全体がウソの上に成り立っていることになります。
そのウソを振り返っていきたいと思います。
2005年/青森県議会

2005年(平成17年)の青森県議会全員協議会の議事録です。
東京電力の当時の社長の発言です。
むつ市におけるリサイクル燃料備蓄センターで貯蔵する使用済み燃料は、当社と日本原子力発電の二社の原子力発電所で発生する使用済み燃料のみとする予定でございます。全国の使用済み燃料を貯蔵することはございません。
2005.5.16 青森県議会全員協議会 勝俣東京電力社長答弁
組織のトップの発言です。
しかも県議会という公の場。
ここにすべてが凝縮されています。
青森県は、中間貯蔵施設の立地協定の当事者です。
この議論が、立地協定締結の前提のひとつになっています。
まさか、社長直々の発言も反故にされるとは思わなかったでしょう。
社長の発言すらウソならば、これから先、電力事業者の何を信用すればいいのでしょうか?
高橋立地協定はむつ市だけではなく、青森県も含まれています。
つまり、青森県議会と青森県民も当事者です。
このウソは、県民の理解が得られるのでしょうか?
2005年/市民説明会(立地協定)
2005年(平成17年)に、市民説明会がむつ市の下北文化会館で開催されました。


市民の質問に対し、このような回答がなされています。
むつに計画している施設については、東電及び原電の使用済燃料を貯蔵する施設であり、他電力の使用済燃料を貯蔵することは考えていない。
この回答は、誰の発言かはわかりません。
ただし、この時の出席団体は、東京電力、むつ市、経済産業省資源エネルギー庁の三者。
この発言の意味の重さは明らかです。
そしてこの4か月後、2005年(平成17年)の10月に立地協定が締結されました。
中間貯蔵事業において、当然守るべき約束です。
2021年/むつ市長ヒアリング
共用化が初めて表沙汰になった2021年(令和3年)、むつ市は電力事業者に対してヒアリングを行いました。
むつ市長
みなさんからいただいた文章の中で、「当社と」っていうのは東京電力さんだと思うんですけどね、「東京電力と日本原電の原子力発電所で発生する使用済燃料のみを貯蔵する予定で、全国の使用済燃料を貯蔵することはない」。このように答えをいただいています。このことについてあらためて両社の見解をお伺いします。そのとおりでよろしいでしょうか?
東京電力
我々の回答としては、当時の弊社社長が答弁した内容から、今もその基本原則が変わっていないと考えています。これ、弊社社長は、当社と日本原子力発電の使用済燃料を貯蔵するということで明言してますので、その基本原則が変わっていないということで、間違いございません。
東京電力の回答の中に「当時の弊社社長」という言葉があります。
この議論の前提に、前述の「平成17年の青森県議会」の話があり、それを踏まえてのやりとりになっています。
つまり、2021年の時点で、2005年の社長の発言は生きており、それを踏襲したということになります。
高橋あらためてすごいと思うのが、この2時間以上のヒアリングを「すべて公開」で行ったということです。
2024年/市民説明会(安全協定)
2024年(令和6年)、中間貯蔵施設の操業を控え、安全協定を締結するにあたり、住民説明会が開催されました。


市民から、2社以外から搬入しない約束を、「必ず守りますということをここで言っていただきたい」という問いかけがなされています。
それに対して、経済産業省資源エネルギー庁の回答です。
中間貯蔵施設につきましては、あくまでその2社のものを入れるということになってございます
「必ず守ると言ってほしい」という問いかけに対して、「2社のものを入れるということになってございます」は、当然2社以外のものは搬入しない、という理解になると思います。
むしろ、この「あくまでその2社のものを入れるということになってございます」という回答が、「2社という約束を必ず守るとは言ってない」という言い訳に使われるとしたら、かなり悪質だと思います。
市民からの問いかけをはぐらかして、ウソまでついたことになるわけですから。
そして重要なポイントは、中間貯蔵施設の操業直前、2024年7月の時点においても、「共用化はしない、2社だけだ」という説明だったという点です。
これが、わずか1年後には、共用化の話になった。
初めから共用化する魂胆だった。
操業さえしてしまえば、あとはどうにでもなる。
そう考えていたと、疑いを持つのは当然だと思います。
ところで、市民の方はここで「口約束」という言葉を使っています。
たしかにあまりに軽く扱われているので、口約束のように感じるものムリはありません。
しかし、本当は明文化されています。
立地協定を締結する前、2004年(平成16年)に東京電力からむつ市に提出された「「リサイクル燃料備蓄センター」の概要」には、次のように明記されています。
当社および日本原子力発電(株)の原子力発電所から発生する使用済燃料を貯蔵します。

全文は、青森県のホームページからも確認できます。
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kankyo/g-richi/gyousei.html
冊子のP190~192に「「リサイクル燃料備蓄センター」の概要」が掲載されています。
さいごに
今回は、今手元にあって、すぐアップできる資料だけを掲載しました。
探せばもっとあるはずです。
だって、共用化の話があるまでは、中間貯蔵施設を利用するのは東京電力と日本原電の2社だけというのは、関係者にとって当たり前の話だったわけですから。
今回の件は、
国策に協力するだとか、
国のエネルギー政策に貢献するだとか、
むつ市の財政のためだとか、
地域経済の活性化のためだとか、
そういう話以前の問題です。
残念ながら。
言ってることが変わる。
聞いても正面から答えてくれない。
そういう人たちの言うことを、なぜ信用できるかという話です。
むつ市に搬入されるモノは、使用済核燃料です。
万が一のことがあれば、我々は故郷を、住む町を失います。
そんな重大なことを、ウソをつく事業者の説明を無批判に受け入れ、「何となく」で決めていいわけがない。
そういう、政策以前の話だと思っています。
今まで積み上げてきた議論は、一体何だったのでしょうか?
原子力政策を進めるためなら、ウソもいとわない。
むつ市はそれを容認するのか?
協定に背いた責任すら問えない。
そんなむつ市に、これから何ができるというのか?

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