むつ市議会議員の高橋です。
今回は、PayPayを使った「むつ市キャッシュレス決済ポイント還元事業」の問題点を考えていきたいと思います。
結論から言うと、PayPayに効果がなかったという話ではなく、
市役所の「効果検証」のやり方がダメだということです。
効果は「検証できない」というのが現時点での結論です。
高橋なお、自分はこの予算に反対しました
事業の概要(読み飛ばしてOK)
事業内容
対象店舗でPayPayを利用した場合、利用金額の一部をポイントで還元する事業です。
| ポイント還元率 | 15%(1回の上限1000円) |
|---|---|
| 期間 | 2025年(令和7年)5月1日~5月31日 |
| 対象者 | PayPayユーザー(むつ市民以外もOK) |
この時点で、問題が2つあると思っています。
- PayPayを使っていない人は、そもそも事業の対象外
- むつ市民のための物価高騰対策なのに、市外の人にポイントが逃げる
事業目的
事業目的は2つです。
- 物価高騰により消費を抑制している生活者支援
- 市内事業者の収入確保の支援
本来、目的は明確にしなければいけないと思います。
やるべきことが違ってくるからです。
高橋物価高で生活が苦しいから市民へ給付することと、お店の売上支援のため消費を促すこととは、事業の性質が違うはずです。
この場合、どちらが主目的かわかりません。
お役所的には、最初に示された方が「優先度が高い」と判断することもありますが。
「生活者=市民の支援」が目的であれば、市外の人へのポイント付与は矛盾しています。
予算と決算
| 項目 | 予算額 | 決算額 |
|---|---|---|
| ポイント還元分 | 41,210,000円 | 26,252,151円 |
| 事務経費 | 3,689,000円 | 3,948,363円 |
| 合計 | 44,899,000円 | 30,200,514円 |
約1469万円が、使われずに残りました。
初めての事業だったので、キャンペーン期間中にポイント不足になるのを避けたかったので、必ず足りるという金額で予算措置した。
足りなくなるのが不安だったので、多めに予算要求した。
これが、想定以上に予算が余ってしまった理由です。
高橋そんな説明は、補正予算の審議の時に聞いてないんですけどね
補正予算を組んだ時点で、財源として、国の物価高騰対策の交付金を見込んでいました。
金額は3166万3000円。
想像以上に利用が伸びなかったけど、その分支出が少なく済んだから、国の交付金の範囲内で収まった。
でも、市民の生活支援に使えたはずの1469万円が、使われずに残ってしまった、と考えるべきではないかと思います。
本来はその分の予算も使って、市民の生活支援をすべきだったと思います。
市外に逃げたポイント額
ポイント付与額2625万円のうち、市外のユーザーに付与されたポイント額、
つまり、市外に逃げたポイント額は
「だいたい、670万円程度」とのことです。
国の交付金を使った物価高騰対策。
その670万円分が、市民に使われず、市外の人へ渡りました。
たしかに、670万円分のポイントが付与されるには、それ以上の消費が行われたことになります。
でも、キャンペーンをしていない時と比較して、どれほどの増えたのか?
それに、自分としては、「PayPayのポイントが付くからむつ市に行こう」と思う人は、ほとんどいないと思います。
市公表効果
総消費額
| キャンペーン期間中(2025.5月) | 2億4500万円 |
|---|---|
| 前年同月 | 8400万円 |
あくまでPayPayでの決済額です。
1億6100万円の消費増となっています。
ただし、キャンペーン終了後の消費動向については説明がありませんでした。
1か月間だけポイントが15%も付与されるなら、買いだめできるものは、買いだめしておきたいと思いませんか?
本当は6月7月に買ってもいい物を、前倒しで5月に買っただけだとしたら?
消費を前倒しにしただけで、トータルで見た場合、市内の消費は増加していない可能性はあります。
高橋例えばこんな感じです。
①5月100+6月50+7月50=200
②5月150+6月20+7月30=200
域内利用率(購買率)
| キャンペーン期間中(2025.5月) | 72% |
|---|---|
| 通常利用 | 50%程度 |
むつ市内で買い物をする割合が、約20%増えたそうです。
ここでも注意が必要なのは、あくまでPayPayユーザのみということです。
補正予算時の説明では、むつ市内のPayPayユーザーは、推定で人口の約30%の、1万6000人です。
その約1.6万人による、むつ市内での消費が、20%増えたということです。
むつ市民5万人の消費が、20%増えたわけではありません。
高橋20%増という数字の印象に惑わされないようにする必要があります
問題点
ここからが本題です。
補正予算が上がってきた時から、このPayPayの事業には違和感がありました。
- PayPay1社だけでいいのか
- 他の決済キャリアのと不公平感はないか
- PayPayの囲い込みにつながるのではないか
- PayPay一社だけの決済手数料増に加担していいのか
- PayPayユーザー以外は事業の恩恵が一切ない
- 現金決済の人もまだ多いのではないか
- PayPayを導入してないお店は支援の対象外になるの負担
- 市外の人にポイントを付与することが妥当なのか
- この金額をゴミ袋の配布など全市民対象の予算に充てるべきではないか
などなど。
いろんな疑問がありました。
でも一番の反対理由は、物価高対策なので、市民の日々の生活を直接支援すべきだと思ったからです。
お店の売上を上げることも重要だとは思いますが、事業の目的を明確すべきだと思います。
自分は、「市民の生活の支援」という点を重視したので、むつ市の予算を使って市外のユーザーにポイントを付与することは、「物価高騰対策」という事業目的に照らして、妥当ではないと考えました。
高橋その予算を使って、少しでも市民の負担を減らすべきだと
で、ここがポイントなんですが、
反対した以上、実際にどのような効果があったかを、検証しておく必要があると思いました。
予算案に反対という、自分の判断が間違っていた可能性もあるわけですから。
また、物価高騰は終わる気配がないため、もしかするとPayPay事業の第2弾をやるという可能性も考えられました。
もし効果がないならば、同じ轍を踏むわけにはいかない。
なので、独自に検証することにし、公文書を開示請求しました。
そこから見えた問題は2点あります。
①そもそも効果検証してない
まず、本事業について、市役所は組織として効果検証をしていません。
なぜ、そう言い切れるのか。
開示請求した「市として事業結果を分析し、効果を検証した内容がわかる文書」が、
「不存在」のため「不開示」となったからです。
高橋「そんな文書は作ってない持ってないから、開示もできない」ということです。
開示請求の時系列です。
| 日付 | 事項 |
|---|---|
| 令和7年5月31日 | キャンペーン期間終了 |
| 令和7年8月31日 | 業務委託期間終了 |
| 令和7年11月17日 | 行政文書開示請求 |
| 令和7年12月26日 | 開示決定 |
| 令和8年1月6日 | 文書開示、写しの受領 |
PayPayのポイント還元事業が、物価高対策として効果的であったとするならば、
第2弾、第3弾と、事業が継続される可能性があります。
なので、新年度予算編成を控えたタイミングで、どのような効果検証、どのような事業評価を行ったかを確認したいと思っていました。
ですが、結果は文書不存在。
事業結果を分析し、効果を検証した文書は、作っていない。
要するに、分析も検証もしていないということです。
キャンペーンが終わって半年。
業務委託期間が終って3か月。
でも、分析や検証はしていない。
これが税金を使った事業の実態です。
やってやりっぱなし。
何が良くて何が悪かったか、まったくわからない。
でも、「よくがんばった」で、次に進むわけです。
高橋でも、単に効果検証してればいいという話でもありません。
どんな結果だったとしても、「効果があった」という作文を作ることは簡単にできます。
②実績データももらってない
この事業の効果を検証するためには、PayPay側から、データの提供を受ける必要があります。
それがなければ、分析も検証もできないことは、当たり前のことです。
しかし、そのデータの提供を受けていないことが、令和8年9月の決算審査特別委員会での質疑を通してわかりました。
高橋キャンペーン期間中の決済単価や利用者数は?
市役所把握できていない
キャンペーン期間中の決済単価とか利用者数がどうなっているかということは、当然おさえておくべき指標だと思います。
③それって契約違反?
さらに重要なことは、このデータ提供がなされていないということが、契約違反にあたる恐れがあるということです。
というのは、この決済単価や利用者数は、契約時の「仕様書」の中で、市への報告が必須となっているからです。

しかし、市の答弁は「把握していない」でした。
つまり、契約内容が正しく履行されていない、ということになります。
効果検証とは、また別の問題です。
これは、私と市役所の「解釈の違い」で済む話ではないと思います。
誰がどう見ても、「報告が必須」となっているからです。
誰が悪いのかはわかりません。
報告を怠った事業者なのか。
きちんと確認をしなかった担当課なのか。
契約内容が正しく履行されていることを確認しなかった契約課なのか。
そして大事なことは、これがまかり通っているとするならば、当然、他の事業、他の契約でもそういうことが起きている恐れがあるということです。
まとめ
結局のところ、PayPay事業は効果があったのか、なかったのか。
それは、わかりません。
なぜなら、決算委員会の中での数回のやりとりだけでは、判断できないからです。
なので、市側の報告書を見て判断するしかありません。
今は報告書がないので、何も判断はできません。
ただし、物価高騰が続いているにも関わらず、PayPay事業が再度行われないという事実から考えると、「効果は薄い」という評価なんだろうと推測することができます。
もしそんなに効果があるなら、すぐにやるでしょうから。
令和8年9月1日の決算委員会の時点で、必要なデータをもらっていないということなので、きちんとした効果検証はまだなされていないことになります。
事業が終わって、もう1年以上たちましたが。
契約違反ではないかということについては、指摘するにとどめ、後で確認してほしい旨伝えました。
その場で言い訳みたいな回答をもらっても、意味がないからです。
ただ、その後、回答をくれるかどうかはわかりません。
決算から1か月たちましたが、音沙汰ありませんし。
市側がどういう対応をするのか。
そこから見ていくつもりです。
議場での話なので、議員全員に報告するのか?
個別に自分にだけ報告があるのか?
報告があるならいつなのか?
それとも知らないフリをするのか?
逃げ切るも、有力な選択肢だと思っています。
「あれ、議員の方からあらためて確認依頼があるものだと思ってました…」みたいな。
でも、逃げるというのは、それ自体がメッセージですからね。
やるべきことをやってなかったということの。
契約のことも、効果検証のことも。
単発の事業だからいいとか、国の交付金使ってるからいい、という話ではありません。
こういう意識が、また別の場所で、同じようなことを引き起こすということです。
とりあえず新しいことをやる。
効果はわからない。
検証もしない。
それは、結局は予算のムダ、税金のムダを生み出します。
それをチェックし、適正化を図るのが議員の仕事だと思っています。

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