中間貯蔵施設の「共用化に反対」だけど「請願に賛成」した理由

共用化請願
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むつ市議会議員の高橋です。

むつ市には、原子力発電所から出た使用済み核燃料を一時的に保管する「中間貯蔵施設」があります。

これを「共用化」しようとする動きがあり、自分はそれに反対しています。

「共用化」とは、施設を使うのは東京電力と日本原電の2社という立地当時の約束を破って、全国各地の原発から使用済み核燃料を運び込むことです。

2026年の2月、地元商工団体からむつ市議会に対し、請願が出されました。

「リサイクル燃料備蓄センターにおける貯蔵量確保に関する請願」です。

報道によると、請願した商工団体は、共用化推進の立場だそうです。

この請願に対し、3月の市議会特別委員会で自分は賛成しました。

共用化には反対なのに、共用化推進派の請願に賛成

矛盾しているようにお感じの方もいるそうですので、その理由について書きたいと思います。

目次

まず結論

結論から言うと、

この請願が求めているのは、

「地域における原子力との共生のあり方」についてであって、「共用化を求めているのではない」から。

そして、公的な手続きを経た市民からの要望事項だからです。

理由(背景)/平成15年の住民投票の議論

この考えに至るには、前段があります。

中間貯蔵施設の誘致の是非を議論していた、平成15年にさかのぼります。

当時、中間貯蔵施設には賛成だけでなく、反対意見もありました。

その中で「住民投票で決めよう」という動きも起こりました。

署名を集めるなど、地方自治法で定められた手続きを経て、市議会に住民投票条例案が実際に議案としてあがりました。

しかし、それは否決。

結局、住民投票をすることなく、中間貯蔵施設の誘致が決まりました。

市長は、住民からあげられたこの条例案に、反対意見を付しました。

市議会も、反対多数で否決しました。

自分はここに疑問を持っています。

住民投票をしたら反対されるかも、と心配する市長

住民投票条例案の審議にあたり、当時のむつ市長は、「住民投票したら反対されるかも、だから住民投票しない、住民投票条例は制定しない」と議場で認めています。

議員「この条例案を制定した後、住民投票の結果が反対が賛成を上回るのではないかという心配があるので、その制定には反対しているのではないかという思いもありますが、そのことについては市長はどう思いますか。」

市長「ご発言のとおりであります。」

H15.9.9 使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致に関するむつ市住民投票条例にかかわる特別委員会

市民から「住民投票したい」という要望があったのであれば、やるべきであっただろうと思います。

結果がどうなるかはともかく、住民投票そのものは行うべきであっただろうと。

しかも口頭でのお願いではなく、地方自治法に基づく直接請求という行動の結果なのですから、なおさら。

むつ市のことは市民で決める、そのための住民投票

大事なことは、住民投票をよびかけた市民団体は、中間貯蔵施設の誘致に反対するための住民投票ではなく、「自分たちのこと、むつ市のことを、自分たちで考えて決めたい」と提案していることです。

【市民団体代表】

あらかじめ断っておきたいのですが、私たちの運動は、これは民主主義を問う問題でありました。

中間貯蔵施設の賛成、反対ということをこの運動でやるのではなくて、市民一人一人がこの問題に対して傍観する、いわゆるお任せ民主主義であってはならないと。

あるところでは、何も先生そんなことやらなくても市長に任せておけばいいのではないかと、この任せておくということは、果たしてこの民主主義にとってこれは非常に重大な問題だと。

私たちは、市民の中にお任せすればいいと、見物していればいいと、観客民主主義と、そういうような状態になることを非常に恐れます。

私たちは、中間貯蔵の問題は非常に重要な問題であるだけに、市民一人一人が考え、一人一人が住民投票というものを通じて、これを市政に反映してもらいたいと、こういうことを願っておって、今回の市長の判断については大変遺憾であるという言葉で私の発言を締めくくりたいと思います。

H15.9.9 使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致に関するむつ市住民投票条例にかかわる特別委員会

最後の「今回の市長の判断」とは、住民投票条例案に対し、市長が反対意見を付した点です。

参考までに引用します。

このように、去る6月26日の誘致表明に当たっては、安全性の確保を第一義に、市内各界各層の意見聴取を行い、さらには、これまでの市議会における議論を踏まえ、本職としての結論を導き出したものであります。

以上のことから、本職としては、住民投票を実施する必要はないものと判断しているので、本条例の制定には賛成できないものであります。

むつ市議会第177回定例会議案(2) 議案第54号「使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致に関するむつ市住民投票条例」に付された市長意見

もうひとつ大事な発言を引用します。

【市民団体代表】

私は、学校が東京でしたけれども、むつ・下北へ帰ってみて、いろんなことに遭遇しながら一番腹の立つことは、中央から来る人が、むつ市の人は重大な問題についてもしゃべらないと、発言をしないと、だからいろんなものが来るのだと。私は、とんでもない、むかついてくるのです。

私たちは、この下北に住んでいるということは、常に自分たちのふるさとやこのまちをよくしたい、こういうことを考えているわけです。

ですから、中間貯蔵の問題について最大の住民投票を要求していくねらいは、私はこういう重大な問題をただ見ている下北の人でありたくないと。

やはりこの問題については、賛成・反対を問わず、自分で勉強して、感情ではない、自分で学び、そして自分でこういうふうなものが正しい、こう思うことをどこでも発言できるような市民や住民にならなければいけない。

そして、この住民投票のここまで来たというのは、私は画期的だと思います。住民投票を実現する運動が、この特別委員会にまで持ち込まれたというのは、そういう意味では私は夢のようなものだと思っているのです。

そこまでむつ市でこれたということは、下北は無言ではないと、やはり重大な問題について発言し、重大な問題については議会も特別委員会まで設けてくれたと。

こういうことについて私はこの運動をやって非常によかったと思いますし、何といっても私たちの村や町を発展させるについて、政治のあり方というのは、そこに住んでいる人たちに大きな影響を与えることは間違いがない。

そういう意味で、これを契機にして、私たちは下北の発展の中に、政治の問題に市民が発言をしてくること、こういうことがこれからの発展に大きくつながるという意味で住民投票は重要だと、こういうふうに考えております。

H15.9.9 使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致に関するむつ市住民投票条例にかかわる特別委員会
高橋

「下北は無言ではない」
これほどまでのパワーフレーズは、後にも先にもないのでは?

「住民投票をしたい」という市民の声を無視したということは、自分の考える地方自治のあり方とは異なります。

確かに、日本の地方自治は間接民主主義です。市民が直接ではなく、市民に選ばれた議員が市政に携わります。

でも、それだけで民意をすべて反映するには不十分だから、「住民投票」という制度が設けられていると思います。

それは「請願」にしても同じだと思います。

議員が市民全員の意見をあまねく汲み取ることができ、議員だけですべてを決めれるのであれば、請願なんて不要なはずですから。

請願の件に引き付けて考える

今回の請願の話に戻ります。

請願者である商工団体は、私の考えとは異なり、共用化に推進の立場のようです。

でも、今回の請願の趣旨は、「共用化を進めろ」ではありません。

「地域における原子力との共生のあり方を、市議会として議論してほしい」です。

自分とは考え方が違うからと言って、議論することそのものを否定したら、

自分がおかしいと思っている、住民投票の否決と、同じことをしてしまうことになる。

それは、原理原則として筋が通らないと思います。

異論を封じようとする、やってはいけないことを、自分もすることになると思います。

なので、請願そのものには賛成しました。

「共用化推進派の思う壺」、と感じる方もいるかと思います。

ただ、ここで原理原則を踏み外すと、私自身が一貫性を欠くことになり、

結果的に、長きにわたる議論の中で、説得力を失うことになると思っています。

その時その時で言うことを変える、姑息なやり方は、信頼をも失うことにつながると思います。

まとめ

以上が、2026年2月に提出された請願に対し、賛成した理由です。

「甘い」というご指摘は、ごもっともだと思います。

原子力事業は、国、市、電力業界という巨大な組織を相手にします。

成り行きにまかせていれば、あっと言う間に飲み込まれてしまう。

それはわかっています。

でも、一度でも一貫性を失えば、やってることは彼らと同じになってしまいます。

原理原則があり、自分の正しさを曲げなければ、いつまでも抵抗し続けられると思っています。

いつか理解し、賛同してくれる人が現れるかもしれません。

今回の請願賛成は、共用化そのものへの賛成ではありません。

「共用化」への反対は、これからも訴え続けていきたいと思います。

最後にもう一度。

「下北は無言ではない」

参考/住民投票条例の特別委会議録

本文中で引用した、平成15年9月、住民投票条例案を審査した時の市議会特別委員会の会議録です。

むつ市でも、過去にこのような議論があったことは、知ってて決してムダにはなりません。

共用化請願

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