PTAの法律違反をまとめてみました

PTA法律違反まとめ

こんにちは。

2児の父でシュフのシロイクジラです。

今回は、みなさんが頭を抱えているPTAの法律まわりについて整理していきたいと思います。

違反していると思われる法律
  • 強制加入【憲法第21条「結社の自由」】
  • 会費の自動徴収【消費者契約法】【刑法・詐欺罪】
  • 個人情報の漏洩【個人情報保護法・個人情報保護条例】
  • 非会員の子どもへの差別的扱い【教育基本法】
  • 学校への寄付の強制【地方財政法】【学校教育法】
  • 教師の不適切な仕事のやり方【地方公務員法】
  • PTA加入や役員の強要【刑法】【憲法第18条「奴隷的拘束及び苦役からの自由」】

考えれば考えるほど、PTAは闇の深い組織だということがわかってきました。

ツイッターで「PTA」と検索すれば、ネガティブな体験談ばかりです。

全国的な問題であり、2023年3月3日の参議院予算委員会において、岸田総理大臣と永岡文部科学大臣が、「PTAの入退会については保護者の自由」と答弁するまでになっています。

ぼくは元地方公務員です。

当然、法律に違反しないように仕事をしてきました。

なので、PTAが法律に違反しまっくていることに、疑問を感じています。

同じ公務員であり、子どもを教育する立場にある教師が、その法律違反に加担していることにも疑問を感じています。

そこで、PTAを退会する時の材料にするため、具体的にどんな法律違反の疑いがあるのか、整理してみたいと思います。

自分の頭の中の整理もかねていますので、もし補足などありましたら教えていただければうれしいです。

なお、解釈を含め、あくまで個人的見解ですのでご理解ください。

あと、本稿はあくまでPTAの法律まわりについてのみ書いています。

退会の方法などについては、ツイッターの方が詳しいのでそちらをご覧ください。

紹介しきれないくらい詳しい人がたくさんいます。

https://twitter.com/nyuukaisei_pta/status/1634884503352270848

なお、PTAに関して本で調べたい方は、こちらの本もオススメです。

ぼくが実際に退会した記録はこちらにまとめています。(2023年4月21日追記)

目次

強制加入|憲法

日本国憲法

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

「結社の自由」とは、組織を作ることやそれに加入すること、それから脱退することも自由だという意味です。

次のツイートは、参議院法制局の見解です。

https://twitter.com/newmimimi2/status/1688899137725726720

「PTAが任意により加入する団体であることは法的に明らか」とハッキリ書いています。

引用元の浜田聡参議院議員のブログはコチラです↓

文書内で引用されている、芦部信喜『憲法』の内容はコチラです。

PTAはあくまで任意組織です。

加入を義務付ける法的な根拠は何もありません。

なので、加入することも、退会することも自由です。

このことはPTA問題の根幹です。

ここが隠ぺいされるので、おかしなことになっていきます。

会費の自動徴収|消費者契約法・刑法

前述のとおり、PTAへの加入を強制する法律はありませんので、入退会は保護者の意思によって行われなければなりません。

でも、

加入の意思を示していないのに会費を徴収される。

任意加入であることを知らされず、全員加入だと勘違いさせられて会費を徴収される。

といったトラブルが実際に起こっています。

「加入しなければいけない」と勘違いしている保護者に対し、「任意加入であることを説明せずに」会費を徴収することは、とてもまっとうな行為とは言えません。

ここでは、消費者契約法と刑法の2つの法律を見ていきます。

まず、用語の定義から。

消費者契約法(定義)
第二条 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2 この法律(第四十三条第二項第二号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3 この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
4 この法律において「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体(消費者基本法(昭和四十三年法律第七十八号)第八条の消費者団体をいう。以下同じ。)として第十三条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。

第2条第2項に「その他の団体」にPTAが該当します。

このことは、消費者庁の逐条解説に記載されています。

「その他の団体」には、民法上の組合(民法第 667 条~第 688 条)を始め、法人格を有しない社団又は財団が含まれる。各種の親善、社交等を目的とする団体、PTA、学会、同窓会等といった法人となることが可能であるがその手続を経ない各種の団体がこれに含まれる。法人格を有しない場合のマンション管理組合もこれに含まれる。

消費者庁「消費者契約法 逐条解説 第2条(定義)」より引用 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/annotations/assets/consumer_system_cms203_230210_03.pdf

消費者庁HP https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/annotations/

つまり、PTAは契約の主体として、消費者契約法を順守しなければいけない立場にあるということです。

カナヘビ

こんなにハッキリ書かれているとは思わなかった・・・

次に、不適切な契約の中身について見ていきます。

引用が長くて見づらい方は、こちらもご覧ください。

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。
三 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、次に掲げる事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。
イ 進学、就職、結婚、生計その他の社会生活上の重要な事項
ロ 容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項

次に、逐条解説を引用します。

現代社会のように、取引が多様化・複雑化する中で情報の面で消費者と事業者との間に格差が存在する状況にあっては、契約の締結を勧誘するに当たって、事業者から消費者に対し、消費者が契約を締結するという意思決定をする上で必要な情報の提供が適切になされないまま、契約が締結されるケースがある。このように、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて自らの欲求の実現に適合しない契約を締結した場合には、民法の詐欺(同法第 96 条第1項)が成立しない場合でも、契約の成立についての合意の瑕疵によって消費者が当該契約に拘束されることは衡平を欠くものであるため、消費者は当該契約の効力の否定を主張し得るとすることが適当である。
そこで、法は、本条第1項及び第2項において、事業者から消費者への情報の提供に関する民事ルールを設けることとした。すなわち、消費者は、事業者の一定の行為(誤認を通じて消費者の意思表示に瑕疵をもたらすような不適切な勧誘行為。具体的には、不実告知(第1項第1号)、断定的判断の提供(第1項第2号)、不利益事実の不告知(第2項))により誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができることとした。

消費者庁「消費者契約法 逐条解説 第4条(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)」より引用 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/annotations/assets/consumer_system_cms203_230210_06.pdf

つまり、必要な事柄を十分に説明せずに行った契約や、帰りたくても帰してくれないなど消費者が契約せざるを得ない状況下における契約は不当であり、取り消しできるということです。

刑法(詐欺罪)

刑法

(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

条文だけ見るとあっさりしていますが、実際に詐欺が成立するためには、専門的にはさまざま条件があるようです。

【法律相談ナビ】https://asiro.co.jp/media/keiji/5707/

実際に詐欺罪にあたるかどうかは、法律の解釈と、PTAの悪質性によるかと思います。

憲法学者の木村草太氏は、詐欺罪にあたる可能性を示唆しています。

任意加入と明らかにしたうえでお願いするだけなら、問題ないでしょう。しかし、相手をだますつもりで任意加入を隠して、会費をとるのは詐欺罪ですね。しかもこれは組織的詐欺罪なのでふつうより刑が重いです。共謀罪の対象でもあり、共謀段階で捕まりかねない。5年以下の懲役です。教育委員会が動かなくても警察がいますので

「論座」より引用 https://webronza.asahi.com/national/articles/2019070400004.html?page=1

個人情報漏洩|個人情報保護法・個人情報保護条例

学校とPTAはまったくの別組織です。

なので、学校の先生がPTA役員に対し、非会員の個人情報を同意なしに提供するのは法律違反です。

個人情報保護法=PTAに適用

個人情報保護法

(定義)
第十六条 (略)
2 この章及び第六章から第八章までにおいて「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。
一 国の機関
二 地方公共団体
三 独立行政法人等
四 地方独立行政法人

(利用目的による制限)
第十八条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない

(不適正な利用の禁止)
第十九条 個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。

(適正な取得)
第二十条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。

このことから、個人情報を不正な手段で入手し、本人の同意なく利用することは法律により禁止されています。

ちなみに、16条2項において、地方公共団体(教委・学校を含む)はこの法律の適用から除外されています。

個人情報保護条例=学校と教委に適用

では、地方公共団体は自由に個人情報を扱えるか、というとそうではなく、各自治体の個人情報保護条例により規制されています。

条例はそれぞれの自治体が作る法令なので、内容や書きぶりはそれぞれの自治体によって異なります。

例えば、ぼくが住んでいる青森県むつ市の条例を見てみます。

むつ市個人情報保護条例

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会、公営企業管理者及び議会をいう。

(実施機関の責務)

第3条 実施機関は、個人情報の適正な取扱いについて必要な措置を講ずるとともに、あらゆる施策を通じて個人情報の保護に努めなければならない。

2 実施機関の職員は、職務上知り得た個人情報をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(収集の制限)

第7条 実施機関は、個人情報を収集するときは、あらかじめ取扱目的を明確にし、目的を達成するために必要な範囲内で、適法かつ公正な手段により収集しなければならない

(利用及び提供の制限)

第8条 実施機関は、法令等に基づく場合を除き、取扱目的以外の目的のために保有個人情報(保有特定個人情報を除く。以下この条において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。

この条例に基づいて、学校は子どもや保護者の個人情報を収集しているはずです。

その利用目的は、あくまで公立学校の運営であるはずです。

公立学校の運営を目的に収集した個人情報をまったく別組織のある任意団体に提供するのは、条例違反だと言えるでしょう。

子どもへの差別的扱い|教育基本法

教育基本法

(教育の機会均等)
第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。

「親がPTAに入っているかいないかで、子どもが学校で差別されることはない」とうことが、この一文を読んだだけで分かると思います。

教育基本法は、文字通り学校教育の基本となる法律ですから、これを無視していいわけがありません。

卒業式の記念品をPTA非会員の子どもに渡さないなどの取扱いは、教育基本法の理念に反していると言えると思います。

学校への寄付|学校教育法・地方財政法

PTA会費による寄付の問題も徐々に表面化しています。

以下の記事では、PTA会費が「第二のサイフ」として、学校に都合よく使われている実態がよくわかります。

大事な点は、市の教育長も「不適切である」と認めているという点です。

学校教育法

そもそもの前提として、公立学校の経費は学校=教委=地方自治体が負担すべきものです。

学校教育法

第五条 学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。

そして大前提として、義務教育は無償であると、憲法で定められています。

日本国憲法

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

予算が足りなくて、保護者からの寄付がないと学校が運営できないという事態そのものがおかしいと言えます。

地方財政法

割当寄付

地方財政法

(割当的寄附金等の禁止)

第四条の五 国(国の地方行政機関及び裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。

強制的な寄付のことを「割当寄付」と呼ぶそうです。

地方財政法では、自治体が住民から寄付を強制的に徴収する「割当寄付」を禁止しています。

ちなみに、自主的な寄付は禁止されていません。

なので、個人が自発的にお金や物品を役所や教委に寄付することはよくあります。

そこで、次のような疑問が残ります。

「PTAから学校への寄付は強制なのか?」

これに関して、PTAに詳しいライターの大塚玲子氏は著書で次のように述べています。

自動強制加入のPTAで、つまり本人の同意なく集めた会費で学校に「寄付」をするのは、本当の意味での寄付とはいえません

『さよなら、理不尽PTA』P41

繰り返しますが、地方財政法は自主的な寄付を禁止していません。

PTA会員全員が心の底から賛同して寄付をするのであれば問題ありません。

ですが、そもそも退会できることを周知せず、事実上の強制加入により強制徴収した会費による寄付が「自発的な寄付」と言えるのかという点が争点になります。(多数決で反対派を押し切って寄付を強行したりしても、問題があるように思います)

地方財政法は、地方自治体の活動についての法律なので、この場合は寄付を受ける学校や教委のスタンスを問うことになります。

「事実上強制徴収されている会費を原資とした寄付を受け取るんですか?」「割当寄付の恐れはないですか?」と。

住民に負担を転嫁してはいけない経費(2023.3.21追記)

地方財政法には「市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費」が規定されています。

(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の四 市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない

地方財政法

次にその「政令=地方財政法施行令」を見てみます。

(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第五十二条 法第二十七条の四に規定する経費で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 市町村の職員の給与に要する経費
二 市町村立の小学校、中学校及び義務教育学校の建物の維持及び修繕に要する経費

地方財政法施行令

要約すると、「役所は、公立の小中学校の建物の維持管理や修理の経費を、住民に負担させてはいけない」になります。

なので、たとえ他の経費はグレーであったとしても、学校の建物の維持修理経費をPTAが負担するのは、完全にアウトだと思います。

そもそも、わざわざこのように規定している意図は、「保護者ではなく自治体が負担すべき経費だと明確にすること」だと解釈するのが妥当だと思います。(でなければ、そもそもこの規定自体が不要であり、残しておく必要がない条文です)

カナヘビ

「建物の維持に要する経費」にどこまで含まれるのかの解釈が争点になりそうです。

寄付採納

補足になりますが、役所側(学校や教委)は、寄付を受けた時は「寄付採納」という事務をしなければいけません。

寄付採納とは、住民から寄付があったことを公文書として残しておく事務のことです。

これは通常、各自治体の「財務規則」などによって規定されています。

(財産登録)

第156条 部局の長は、公有財産につき、取得、所管換え、用途の廃止、その他の理由に基づく変動があったときは、次に掲げる証拠書類により、遅滞なく財務部長に通知しなければならない。

(1) (略)

(2) 寄附を受けたものは、寄附をした者が提出した書類、契約書、現場確認書及び授受書

むつ市財務規則

実務としては、「誰々さんから、いつ、どのような寄付をもらった」、ということの書類を作るだけの、なんてことはない仕事です。

でも、実はこれがちきんとやられていないケースも多いです。

なぜかというと、「寄付の件数が多くてその都度やるのが面倒で忘れた」や、「そもそもそういう事務が必要だと認識していなかった」などが理由です。

住民にとっては正直、直接影響のない話です。

ただ、役所側にとっては大問題です。

まず、法令順守が行われていないという問題。

自分たちで決めたルールを守れないのに、市民に法令順守を強要するわけですから、示しがつかなくなってしまいます。

そしてより深刻なのは、これが着服などの不祥事につながりかねない案件だからです。

寄付を受けたという書類がなければ、上司や同僚が寄付があった事実さえ知らない場合も想定されます。

担当者と住民が別室で1対1でやり取りし、預かった寄付金をそのままポケットに入れることも不可能ではありません。

カナヘビ

ウソだと思うかもしれませんが、ガバナンスが効いてないので、役所では想像以上のことが起こります。「他人の土地に許可なく施設を建てた」なんてこともあるくらいですので。

学校生活に直接影響しないので、寄付採納の手続きが正しく行われていない学校や教委も多くあると思います。

軽微なミスではありますが、法令順守を怠っていることは事実です。

寄付先として信頼するに足りないと指摘することは可能かもしれません。

(自分のお金が正しく使われない団体に普通は寄付をしないものだと思います)

教師の不適切な仕事のやり方|地方公務員法

学校の先生の身分は地方公務員法なので、地方公務員法が適用されます。(教育委員会の職員も)

地方公務員法

(懲戒)
第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

第六節 服務
(服務の根本基準)
第三十条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない
(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。
(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

簡単にまとめると、

全体の奉仕者として、公共の利益のために、法令に従って仕事をしなければならない。

公務員の信用を失うようなことや、秘密を漏らすようなことはしてはいけない。

ということです。

PTAの加入が任意であることを故意に隠したり、

PTA会費で学校備品を買ってみたり、

非会員の子どもに卒業記念を配布しなかったり、

同意なく個人情報をPTA会長に渡してみたり・・・

どれも地方公務員法に違反のように思われます。

PTA加入や役員の強要|刑法(2023.4.14追記)

強要罪、監禁罪

ツイッターなどを見ていると、役員決めの際に「役員が決まるまで会議室から出さないと言われた」や「役員決めになった途端に体育館に鍵をかけられた」といった恐ろしい事例もあるようです。

このような場合は、刑法の強要罪や監禁罪に抵触する場合があると思います。

刑法

第三十一章 逮捕及び監禁の罪
(逮捕及び監禁)
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
(逮捕等致死傷)
第二百二十一条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
第三十二章 脅迫の罪
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

怖いと思ったら、その場で警察に通報することも検討していいと思います。

帰宅して、「やっぱりおかしい」と思ったら、消費生活センターや弁護士、警察に相談してみましょう。

不退去罪

他人が家に押しかけてきて、「帰ってくれ」と要求しても帰ってくれない場合、「不退去罪」になります。

PTA役員が自宅に押しかけてくる、なんてことはあまりないかもしれませんが、もしそこまでしてきた場合は、不退去罪に抵触する可能性があります。

近所迷惑になる場合もありますので、警察への通報を検討しましょう。

刑法

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

ぼくは公務員の時、不当要求対策の担当をしていたことがあります。

脅迫めいたことを言われることもありますし、実際に刃物で切り付けられたり放火されている自治体も多くあります。

その対応マニュアルを作る際に警察に相談に行った時、次のようなことを言われました。

「何かがあってからでは遅いので、もし身の危険を感じたらすぐに通報してください。空振りになってもいいです。」

憲法18条|奴隷的拘束及び苦役からの自由

そもそも「個人の意思に反してやりたくないものを強要されるのは憲法違反ではないか」、という指摘もあります。

日本国憲法

第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

調べてみると、「その意に反する苦役に服させられない」という文言により、「徴兵制」を否定する時の根拠とされることがある条文のようです。

軍隊だろうがPTAだろうが、日本では「自分の意に反して何かをさせられる」ことはダメなんです。

罰則

では、これらの法律に違反したことによって、PTA役員、学校、教育委員会はどのような罰則を受けるのでしょうか?

実際のところ、個別の案件に対し、司法の場で判断されていくしかないと思います。

ただし、前述の通り学校の先生は地方公務員なので、法令順守を怠ったり、信用失墜行為や守秘義務違反があれば、地方公務員法違反によって懲戒処分を受ける可能性があります。

地方公務員法

(懲戒)
第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

大分市では、個人情報の無断提供により、実際に校長が書類送検されているそうです。

まとめ

違反していると思われる法律
  • 強制加入【憲法第21条「結社の自由」】
  • 会費の自動徴収【消費者契約法】【刑法・詐欺罪】
  • 個人情報の漏洩【個人情報保護法・個人情報保護条例】
  • 非会員の子どもへの差別的扱い【教育基本法】
  • 学校への寄付の強制【地方財政法】【学校教育法】
  • 教師の不適切な仕事のやり方【地方公務員法】
  • PTA加入や役員の強要【刑法】【憲法第18条「奴隷的拘束及び苦役からの自由」】

思った以上に長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

なんで、こんなに法律に違反するような状態が放置されているのか不思議でなりません。

実際に違法性を追及するにあたっては、個別の状況によると思います。

もし気になった方は、この記事を足掛かりに、もっと調べたり弁護士などの専門家に相談してみていただければと思います。

ぼくも新しいことがわかったら、随時補足していきたいと思います。

みなさんの自由のために、少しでもお役に立てればうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

PTA法律違反まとめ

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