こんにちは!
元地方公務員のしろいくじらです。
今回オススメするのは、決算書の読み方の解説本です。
・数字が苦手で、どの本を選んでいいのか、わからない方
・「ちょっとでもいいから決算書の見方を覚えたい」という公務員の方
ぼくもこの本を読むまで、決算書の見方が全くわかりませんでした。
ぼくは、高校は普通科、大学は文学部で、数字がとても苦手でした。
「○時間でわかる経済学」みたいな本に何度もチャレンジしましたが、最後まで読み切れたことはありません。
それくらい数字が苦手なぼくでも、本書を読んでなんとなく決算書の見方がわかるようになりました。
「えっ、そんなんで公務員務まるの?」って言われてしまいそうですが・・・
実際、読めなくても仕事はできます。
読めないけど、ぼくより長く仕事をしている人はたくさんいます。
自分の経験から、決算書の見方がわかると、仕事にどう役立つかを書いていきたと思います。
ちなみに、ぼくは簿記3級の資格を取りましたが、本書を読んだ後に勉強をしました。本書で損益計算書や貸借対照表の構造がなんとなくわかったのはメリットだったと思います。本書がなくて、試験のテキストだけだったら、たぶん不合格だったと思います。
本書のオススメポイント
本書は8章構成となっています。
そのうち、第5章から第8章は「応用編」で、実際の決算書を見ながらの経営分析になっています。
なので、決算書に苦手意識を持っている方や忙しくて全部を読めないという方は、第1章~第4章の「基礎編」だけ読んでも十分だと思います。
- 第1章 決算書について
- 第2章 損益計算書(PL)について
- 第3章 貸借対照表(BS)について
- 第4章 キャッシュフロー計算書について
本書の良い点は、「粗利率」、「利益率」、「ROE」などといった専門的な用語が、すべて第5章以降の応用編にまとめられている点です。
なので、基礎編から頭がゴチャつくことが少ないと思います。
「ど素人」向けに書いているだけあって、とてもわかりやすく書かれています。
それに、初心者には複雑でイレギュラーな事例など必要はありません。
損益計算書と貸借対照表の大雑把な見方さえつかめればいいです。
キャッシュフロー計算書も、初めのうちはパスしてもいいと思います。
公務員時代の体験談
民間企業であれば自社の業績などで、自然と決算書に触れる機会が多いと思います。
一方、公務員はそれほど多くありません。
なので、人事異動の運がよければ、決算書が読めなくても退職まで困りません。
たぶん、出世にも影響ありません。
ぼくの場合は14年間で8部署を経験しましたが、うち必要だったのはたった3部署だけです。
契約の根拠資料の審査
ぼくが採用1年目に、福祉部門で働いていた時の事例です。
ある事業者と新たに契約を結ぶ際に、決算書を提出を求めることになりました。
たぶん、公的な事業を行う上で、契約の相手方として適切な事業者であるか、不適切な経理や財務状況に不安はないかなどを審査するためだと思います。
(「たぶん」というのは、当時のぼくはとにかく目の前の業務を「片付ける」ことで精一杯だったので、根拠まで調べなかったからです)
で、前期の決算書が届きました。
「・・・」
見ても全く意味がわからない。
「・・・」
でも仕方ないので、書類上体裁を整えて、稟議に回しました。
記憶がないので、恐らく問題なく決裁されたんだと思います。
そしてたぶん、どの上司も決算書の内容についてはスルーしたんだと思います。
今考えてみると、審査の仕方もわからない書類を相手に提出させるって、結構ヤバいと思います。(反省してます)
ここまで読んでいただいて、「ヤバイ」と思った方はぜひ決算書を勉強していただければと思います。
(もし、その事業者が突然倒産したり、怪しい会計処理でニュースになったりしたら、審査した上で契約した役所側の責任も問われることになりますよね)
その時の後ろめたさがずっとあり、いつか勉強しようと思うことになりました。
同じヤバさでいうと、社会福祉法人の監査の業務にも決算書の知識が必要不可欠だと思います。不適切な会計処理を見逃したのでは「何のための監査だ」ってなりますからね。うちのお役所はちゃんと理解して仕事してるのかな・・・
企業会計
公営企業会計の部署では、複式簿記の知識が必要ですよね。
ぼくは運悪く、初めての異動先が病院事業でした。
まだ、簿記の知識がゼロの状態です。
それまでお役所で使っていた会計システムは、単純に支出する金額を入力するだけでした。
一方、病院のシステムには「借方」「貸方」の欄があり、もうそれだけでパニック。
支払伝票ひとつまともに作れない状態からのスタートになりました。
そこで勉強すればよかったんですが、抱えた業務量が多く、また長男の出産も重なり、結局後回しになりました。
で、知識のない状態で伝票をどう作ったかというと、「××を支払う時は、この画面のここに、金額を入れる」みたいな素人でもできるようなマニュアルを作ってしのいでいました。
第三セクターの管理
病院勤務から数年後。たまたま地方銀行へ出向するチャンスがあり、それを機に勉強を始めました。
そして、公務員生活で一番決算書を使ったのが、出向終了後、総務課での第三セクター(三セク)の取りまとめ業務でした。
三セクとは、簡単に言うと「お役所が出資して経営に関わっている企業」のことです。
役所が税金を出資しているので、その企業の経営がうまくいっているかをチェックして、国や県に報告する仕事です。
なので、この業務に関しては、決算書の知識がゼロではできません。
決算書の内容を所定のエクセルに入力し直して報告しないといけないのですが、用語の意味がわからないと、どのセルにどの数値を入力していいかすら、わからない状態になります。
また、三セクの経営状況について、県庁の担当者のヒアリングを受けたりもします。
自分でも理解できない数字について問い詰められたら、それは当然苦しい時間になります。
内容が理解できていないがために、ヒアリングでサンドバッグにされる自治体もあるとかないとか・・・
この頃には、決算書の見方がある程度わかっていたので、経営上の課題であったり、今後の見通しなどについて、決算書の数字を交えながら意見交換することができました。
特別なことを言えたわけではありません。
ただ、相手に対し、自分の意見を自分の言葉で言えたことは大きいと思います。
でも、引き継いだ資料を見る限り、たぶん歴代担当者の多くが知識ゼロでやってたんだろうなと思いました。なぜなら、毎年赤字が続いている三セクについて、考察がほとんどなかったからです。ぼくみたいな素人でも「粗利がマイナスな時点でヤバイ」とか「過去数年分の損益計算書(PL)を比較して傾向をつかもう」とか考えるわけですが、そういう痕跡もありませんでした。わかったふりで乗り切れてしまうのが、お役所の悪い体質です。
まとめ
たった14年の公務員生活ですので、長くお役所にいれば、もっと知識が必要な場面があったと思います。
民間にお勤めの方ならなおさらです。
本書を読めば、最低限の必要な知識は身に着くと思います。
はじめの一歩さえクリアしてしまえば、その知識を土台にステップアップしやすいと思います。
決算書は読めないから倦厭しがちですが、読めるようになると仕事の幅が広がります。
もちろん、自分にあった本が他にあればそれに越したことはありませんが、ぼくのように「数字が苦手」「経済学が苦手」で、「どの本を選んだらいいのかわからない」という方には、オススメしたい一冊です。
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