今年、2023年は統一地方選挙がありました。
みなさん投票に行きましたか?
誰がなっても同じだから行かない。
わかるわかる。
じゃあ自分や知り合いが選挙に出たら?
お金もかかるし大変そう・・・
たしかに、選挙はお金もかかるし大変そうなイメージ。
でも、実際のところどうなのかわかりませんよね。
なので、今回は選挙に立候補する時のお金や手間について調べてみました。
ここからは、2023年4月のむつ市議会議員補欠選挙の説明会の内容をもとに解説します。
各自治体の選挙管理委員会によって内容が異なる場合があります。
また、金額などは有権者の数に応じて変化する場合もあります。
なので、あくまでつかみとして参考にしていただければと思います。
詳しい内容については、必ずお住まいの選挙管理委員会にご確認ください。
選挙説明会にはマスコミも来てました。
経歴などを書く「調査票」の提出に協力してほしいと言われました。
断ることもできますが、身バレが気になる方はご注意を。
結論|少ない費用で選挙に立候補する方法
先に結論です。
費用を極力抑えて選挙に立候補する方法。
それは、「ネットやSNSだけで選挙を戦う」です。
お金と地盤を持ったベテラン議員と差別化を図り、全く別の土俵で戦うのです。
選挙ポスター、選挙カー、街頭演説などの伝統的なツールが選挙における正攻法です。
でも、これらは必須なわけではありません。
それに、これらを使うことは当然お金と時間がかかります。
一方、「ネットやSNSだけ」で選挙をすれば、人も雇わなくていいのでお金もかかりません。
また、PCとスマホがあれば、時間に拘束されることもありません。
なので、仕事を始めたばかりの若手社員や、子育て中のママでも立候補できます。
「それで選挙に勝てるのか」と言われれば、たしかにそれはまた別です。
やったことがないのでわかりませんが、リスクはあるのもしれません。
ですが、本来の正しい選挙の姿に近づくのではないかと思っています。
なぜなら、選挙はイメージではなく、訴える政策の内容で決まるべきだと思うからです。
ポスターを見て投票者を決めますか?
うるさい選挙カーの声を聞いて投票者を決めますか?
それで決める人もいるかもしれません。
でもそれは、その人が何をしてくれるのかではなく、なんとなくのイメージです。
男前とか、若いとか、女性だからとか。
たしかにタレント議員はそうやって当選しているわけだけど、それは本来あるべきカタチではない。
街頭演説の姿で、一生懸命なイメージを与えることはできるかもしれない。
でもそれまあくまでイメージ。
たった十数分で、その人のビジョンのすべてが伝わるわけではない。
自分が議員になって成し遂げたいこと。
日頃考えていることを、ツイッター、youtube、ブログなどでそのまま発信すればいい。
SNS運営に要する経費と、その他の雑費くらいで済ますことができるはず。
それに、仮に落選したとしても、選挙戦を通じて、自分が訴えたかったことを問題提起できます。
「そんな問題があったなんて知らなかった」という市民も多いはずです。
そんな人々に、その問題を知らせるキッカケにもなります。
あと、ポスターなどは公費による補助があるとはいえ、もとは税金です。
余計な制度を利用しないことで、税金の節約にもなりまし。
それに、税金を使う公費補助制度を利用するためには、いろんな届出書が必要になります。
余計なことをしないことで、その分の手数を減らすこともできます。
面倒な手続きなしに、簡単に立候補できるなら、手をあげてみたい人もいると思います。
田舎のやり方に疑問がある若者。
子育て中のママ。
仕事がなくて困っている人。
金と地盤にあぐらをかいている老議員を追い出して、議員を自分たちの仕事にして、暮らしを変えていくことができるはずです。
老議員がいなくなれば「議員を仕事にする若者が、地元にUターンするかも」という希望も持てます。
前置きが長くなってしまいましたが、次に選挙にかかる費用について見ていきましょう。
選挙費用は2種類|供託金と活動費用
選挙にかかる費用は、まず大きく分けて2種類あります。
- 1|供託金
-
- 必ず用意しなければいけない
- 前払い
- 選挙に立候補する資格を得るためのお金
- 不届き者が売名目的で立候補することを防ぐ目的
- 一定の得票があれば後日返金される(得票数が少なければ没収)
- 2|選挙活動費用
-
- ポスター、ビラ、選挙事務所の家賃など、選挙活動にかかる費用
- 一部には公費による補助あり
- 上限額があり、それをオーバーすると落選となる
供託金は、がんばれば返ってきます。
なので、費用を抑えるためには、その他の選挙活動費を抑えればいいことになります。
供託金
供託金の金額
田舎の市議会の場合は30万円です。
町議会や村議会の場合は15万円です。
供託金は選挙に立候補するために必ず準備しなければならないお金です。
売名目的で選挙に立候補することを防止する目的らしいです。
金額は立候補する選挙によって異なります。
(供託)
公職選挙法
第九十二条 第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定により公職の候補者の届出をしようとするものは、公職の候補者一人につき、次の各号の区分による金額又はこれに相当する額面の国債証書(その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものを含む。以下この条において同じ。)を供託しなければならない。
一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙 三百万円
二 参議院(選挙区選出)議員の選挙 三百万円
三 都道府県の議会の議員の選挙 六十万円
四 都道府県知事の選挙 三百万円
五 指定都市の議会の議員の選挙 五十万円
六 指定都市の長の選挙 二百四十万円
七 指定都市以外の市の議会の議員の選挙 三十万円
八 指定都市以外の市の長の選挙 百万円
九 町村の議会の議員の選挙 十五万円
十 町村長の選挙 五十万円
供託金は返金される
供託金は、一定の得票数を得れば、後日返還されます。
落選しても、基準値以上の得票があれば返還されます。
なので、ある程度の数の票をとれる見込みがあれば、供託金は心配しなくていいことになります。
ただし、基準となる得票数を下回ったり、立候補を取りやめた場合は没収され返還されません。
供託金の没収の基準は次のとおりです。
有効投票の総数÷議員定数×1/10=供託金没収点
有効投票数 | ÷議員定数 | ×1/10 | =供託金没収点 |
---|---|---|---|
30,660票 | ÷22人 | ×1/10 | =139.3票 |
2023年4月のむつ市長選の投票数を参考にしています。
有権者数 45,907人
投票率 67.36%
投票者数 30,924人
有効票 30,660票
無効票 264票
人口約5万人のむつ市の場合、市議選では、約140票を取れば供託金は返金される計算になります。
全体の有権者数の0.3%、有効投票数の0.5%です。
0.5%をとれれば、事実上ノーダメージです。
投票率が低ければ、その分供託金没収点も低くなります。
仮に上記計算例の投票率が50%だとすると、供託金没収点は104.3点になります。
(公職の候補者に係る供託物の没収)
公職選挙法
第九十三条 第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定により届出のあつた公職の候補者の得票数が、その選挙において、次の各号の区分による数に達しないときは、前条第一項の供託物は、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては国庫に、地方公共団体の議会の議員又は長の選挙にあつては当該地方公共団体に帰属する。
一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙 有効投票の総数の十分の一
二 参議院(選挙区選出)議員の選挙 通常選挙における当該選挙区内の議員の定数をもつて有効投票の総数を除して得た数の八分の一。ただし、選挙すべき議員の数が通常選挙における当該選挙区内の議員の定数を超える場合においては、その選挙すべき議員の数をもつて有効投票の総数を除して得た数の八分の一
三 地方公共団体の議会の議員の選挙 当該選挙区内の議員の定数(選挙区がないときは、議員の定数)をもつて有効投票の総数を除して得た数の十分の一
四 地方公共団体の長の選挙 有効投票の総数の十分の一
2 前項の規定は、同項に規定する公職の候補者の届出が取り下げられ、又は公職の候補者が当該候補者たることを辞した場合(第九十一条第一項又は第二項の規定に該当するに至つた場合を含む。)及び前項に規定する公職の候補者の届出が第八十六条第九項又は第八十六条の四第九項の規定により却下された場合に、準用する。
前払い
供託金は前払いです。
返ってくる可能性のあるお金ではありますが、事前に捻出する必要はあります。
手続きは選挙管理委員会ではなく、法務局になります。
オンラインでの手続きもできるようで、しきりにオンライン手続きを推奨していました。
(ちなみに)立候補の届出に必ず提出する書類
立候補の届け出で、必要に最小限の書類です。
- 立候補届出書
- 供託書
- 宣誓書
- 戸籍
- 選挙事務所設置届
- 出納責任者選任届
- 選挙公報計算申請書と原稿
この他に、所属政党がある場合の届出書やビラや選挙カーを使う場合の届出書がありますが、これらは該当する人だけなので、該当しない人は上記の書類だけで立候補できるはずです。
選挙活動とその費用
次に、実際の選挙活動にかかる費用を考えます。
お金もさることながら、届出書類などを準備する手間もかなりかかります。
なので、個人的には選挙公報以外のツールは無料でも利用しない方がいいと感じています。
あと、前述しましたが「公費負担=税金」です。
あのうるさい選挙カーに税金を投入することが正しいとは思えません。
無料で利用できること
選挙公報(選挙管理委員会)
選挙管理委員会が発行する広報誌です。
スペースに限りがありますが、内容は自分で決めて自分で作ります。
新聞のような紙に白黒印刷されて、全世帯に配布されます。
見るか見ないかは別として、全世帯にリーチできます。
なので、これだけは利用すべきかと思います。
ただし、スペースに限りがありますので、SNSなどのQRコードを貼るのがいいと思います。
選挙葉書(郵便局)
選挙運動のために郵便はがきを使えます。
市議会は2,000枚、町村議会は800枚だそうです。
はがき代とその送料は無料。
ただし、印刷代は立候補者負担です。
はがき程度のスペースで何を訴えられるのか疑問なので、ぼくなら使いません。
公費の補助があるもの(選挙公営)
選挙カー、ポスター、ビラについては、一部公費による補助があります。
あくまで選挙管理委員会の説明会資料をもとに転記しています。
根拠の法律までは調べていませんので、ご了承ください。
いずれも「上限額」なので、オーバーしたら自己負担になります。
選挙カー
内容 | 公費負担限度額 |
---|---|
タクシー借上げ契約 | 1日 51,500円 |
自動車借入契約 | 1日 13,390円 |
燃料 | 1日 7,210円 |
運転手雇用契約 | 1日 10,000円 |
ポスター
ポスター1枚の単価 | ×枚数(掲示場所の数) | =公費負担限度額 |
---|---|---|
682円 | ×400枚 | =272,800円 |
枚数が400枚なのは、むつ市内に設置されるポスター掲示場の総数が400か所だからです。
ビラ
ビラ1枚の単価 | ×枚数(指定の掲示場所) | =公費負担限度額 |
---|---|---|
7.51円 | ×4,000枚 | =30,040円 |
費用についての注意点
運動員や弁当
運動員やうぐいす嬢に支払う報酬や、提供する弁当などにも上限額があります。
費用の例 | 上限額 |
---|---|
事務員報酬 | 1日 10,000円以内 |
うぐいす嬢 | 1日 15,000円以内 |
弁当料 | 1食 1,000円 1日 3,000円 |
茶菓代 | 1日 500円 |
選挙事務所
選挙事務所を設置すると、その届出書の提出も必要になります。
面倒くさいので不要かと思いましたが、選挙管理委員会に問い合わせしたところ、
「ネットだけで選挙活動するにしても、じゃあどこでその作業してるんだ?」という話になるので、選挙事務所はあった方が自然だと思う。
との回答でした。
なので、選挙事務所は自宅にしておけば、届け出だけで経費0円でできると思います。
支出制限額と収支報告
選挙運動費用には上限額が設定されています。
お金がたくさんあるからといって、自由に使えるわけではないようです。
上限額をオーバーした場合は、当選無効などの罰則があります。
支出制限額の計算式
選挙人名簿登録者数÷議員定数×人数割額+固定額=支出制限額
以下は、試算例です。
選挙人名簿登録者数 | ÷議員定数 | ×人数割額 | +固定額 | =支出制限額 |
---|---|---|---|---|
47,129人 | ÷22人 | ×501円 | +2,200,000円 | ≒3,273,300円 |
選挙活動に使った経費は、選挙後に選挙管理委員会へ報告が必要です。
明細書を作って、領収書などを添付しなければなりません。
なので、ネットを中心に経費を極力抑えて活動することは、最終的に手間を省くことにもなります。
まとめ
ネットやSNSに特化することで、余計なお金と手間をかけない選挙。
選挙ポスターや選挙カーなどは、お金や手間がかかります。
反面、実際どれくらいリーチできて、どれくらい集票に効果があるのか正直わかりません。
でも、ツイッターやyoutubeは無料で利用でき、フォロワーやインプレッションもリアルタイムで把握できます。
ぼくのこのブログはレンタルサーバー代が月1,000円程度かかっていますが、noteなどにすれば無料です。
プロフィール写真のためにカメラ屋さんに写真を頼むとかはあるでしょうが、何十万円何百万円というお金をかけずに選挙に立候補できると思います。
お金も地盤もない我々が、ベテラン議員と同じ方法で戦いに挑んでも難しいでしょう。
腐ってもベテラン議員。
経験豊富な古参兵に同じ武装で突撃しても玉砕するだけです。
地上戦において、小銃で武装した古参兵にドローンで対抗する。
イメージはそんな感じです。
もし本当に効果的に運用できれば、向こうが手も足も出ない戦い方ができるはずです。
供託金没収ラインさえ超えることができれば、出ていくお金はほとんどないはず。
地元の議会が老人ばかり。
選挙はいつも無投票。
そんな現状に疑問を持っている方も多いはず。
自分や知人の立候補、一度検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、田舎の市議の年収は500万円くらいらしいです。
「おいしい」と感じた方は、立候補を検討してみてはいかがでしょうか。
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