謎多き答弁/不十分な説明/TikTok事業のその後

TikTok続編
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むつ市議会議員の高橋です。

当初予算がないのに始まった、むつ市のTikTok事業について、

市議会の一般質問で取り上げましたのでご報告します。

前回の記事はこちらから↓

目次

まずは事実の整理

TikTokを始めるきっかけ

計画にないTikTokを、なぜ始めることになったのか。

令和8年4月30日の大学生との意見交換の中で、

既存の媒体だけでは若い世代に情報が届いていないことがわかったから、とのことです。

なので、3月議会には、当初予算として計上することができなかったと。

TikTokをやる意義

若者にむつ市の情報を届ける。

これがTikTokをやる理由とのことです。

大学生からの指摘を受け、YouTubeの視聴状況を確認したところ、若年層の視聴状況が悪いことがわかった。

既存のチャンネルでは、若者に情報が届いていない。

YouTubeですら見ない。

なので、TikTokを始めたという流れです。

予算

予算額は96万8000円。

動画1本の制作単価は、税込4万7300円とのことです。(単価契約)

当初予算には計上されていないので、YouTubeの予算を流用しています。

(YouTubeは、予算96万8000円減=動画4本分減で対応)

補助などはありません。全額市の持ち出しです。

事業化までのタイムライン

3/13
3月議会閉会

令和8年度当初予算には、TikTokは未計上

YouTubeの元々の予算は391万2000円(年間動画数16本)

4/30
大学生との意見交換会

5月中旬
TikTok事業化決定

庁内で意思決定

(具体的な日付は、公文書がなく不明とのこと)

5/18
起案

組織として事業化を正式決定

5/29
公募

委託事業者の公募開始

(公募資料のリンク)

https://www.city.mutsu.lg.jp/work/bid/proposal/2026-0528-TikTok.html

8/6
運用開始

なぜ補正予算を組まなかったのか?

既決の「広報費」の予算の中でやりくりできたため、という趣旨でした。

広報費全体の予算は5186万8000円あります。

「広報むつ」やFMアジュールなどを含めた金額です。

YouTube動画制作業務委託料は、391万2000円と、予算書に明記されています。

令和8年度当初予算書

動画リンクはこちらから

冒頭、壇上での質問があります。

それ以外の質問は、38:06から始まります。

残された3つの問題点

TikTokについての自分の問題意識は、

「予算の承認プロセス」と「市民への説明責任」にあります。

今回の議論を通じて、それがクリアになったとは思いません。

むしろ、議論の論点がズレており、聞いたことに対し答えてもらっていないと感じています。

TikTokの利用そのものを批判してはいない

TikTokを使うこと自体が悪い、という話ではありません。

TikTokを使うことで、若者にリーチできるのであれば、それを活用するという選択は合理的だと思います。

ただし、ショート動画が与える悪影響や、中国製アプリのセキュリティリスクについては、十分に検討されるべきだとは思います。

【問題1】市民への説明責任/議会説明は「YouTube委託料」だった

令和8年度当初予算書には、「YouTube動画制作業務委託料」とハッキリ書かれています。

YouTube以外の動画の業務委託は想定されていません。

YouTube予算書

この「YouTube業務委託」に対し、3月の予算委員会で、議員から質問がありました。

これに対する市側の答えも、当然、YouTubeについての内容です。

TikTokの話は一切していません。

我々議員は、市民の代表として、市民の代わりに議場にいます。

つまり、この質疑を通して、市民に対し、「令和8年度のYouTube事業の方針」を説明したことになります。

(議会の傍聴の他、YouTubeやラジオで視聴した人も、この説明を聞いています)

その説明を自分たちで無視して、YouTubeの予算を勝手に減らして、TikTokを始めている。

3月に予算が可決して、2か月足らずのできごと。

しかも、方針が変わったという説明もない。

TikTokだからいい、予算が少額だからいい、という話ではありません。

市の予算を、何の説明もなく、都合よく勝手に、説明したことと違う使い方をすべきではない、ということです。

予定していた電気料金が足りなくなったから他の予算から回したという話とは、意味が異なると思っています。

まったく新しい事業をイチから始めるわけですから。

6月議会に補正予算で上がって、そこで議論ができたならば、自分はこういう面倒な話はしません。

ただ、今回のようなことが常態化したら、大変なことになると思います。

予算の審査というのは、単に金額の話だけではありません。

その事業の内容や性質まで考える必要があります。

金額的にはOKでも、倫理的にストップをかけないといけない事業があるかもしれません。

予算の審査をしないということは、その歯止めとして、市議会が機能できないということです。

【問題2】「市民への説明責任の話」を「広報の話」にすり替え

自分は、予算を勝手に振り替えた、その手続きの話をしています。

事前の説明と実際の使い方が違っている、そのことについての説明責任の話です。

TikTokが広報媒体して有効であるか否かは、問題にしていません。

そのことについてのやりとりです。(一部簡略化しています)

高橋

(YouTubeの予算をTikTokに回したことについて)市民に対する説明が不十分だったということに関しては、どう考えているか?問題ないと考えているか? 

市長

市民へ市政をどうやって伝えるか。YouTubeだけでは届いていない。市民への説明をさらに拡充するための事業であり、むしろ市民にどうやって情報を届けられるか、その手段を提供した。そのことに尽きる。

議論がズレているのがわかりますよね。

予算委員会での議論を、傍聴したり、YouTubeやFMアジュールで視聴した人がいます。

その人たちに「YouTubeを391万円の予算で、年16本やる」と説明したわけです。

でも、それを新年度すぐに変えて、YouTubeの予算を減らして、TikTokを始めている。

そのことについての、市民への説明責任をどう考えているのか?

それを聞いています。

それに対する答えが、

「だから新しい広報手段を提供した」、

これでは質問の答えになっていません。

このズレがどんな意味を持つのか?

質問の意図がわからなかった、ということはないと思います。

事前に担当職員のヒアリングも受けてますから。

【問題3】最大の謎/「予算書をしっかり見て」

TikTokの議論を通して、最も謎だったポイントです。

(一部簡略化しています)

高橋

議会で議論したことと、実際にやることの整合性がとれないことについて、庁内で懸念はなかったのか?

市長

当初予算書の42ページを見てほしい。「18目、広報費」の中に、広報費73万5000円もある。YouTubeもやっている。一方で、その他の予算も含めて、広報費の中で予算をもっているので、しっかりそこを見てほしい。

YouTube予算書
令和8年度当初予算書の42ページ

少しわかりづらいですが、「広報費という大枠」の中に、さらに「広報費という事業」が組まれています。

その広報費の事業には、73万5000円の予算が計上されています。

それは事実です。

しかし、TikTokの事業化に必要な予算は96万8000円です。

73万円の予算から、96万円の事業費を捻出することはできません。

予算不足だからです。

市役所に限らず民間企業でも、これで稟議が通るはずはないと思います。

では、この答弁は何を意味するのか?

そもそも、冒頭の檀上での私の質問に対し、

「(YouTube動画)4本分に相当する96万8000円をTikTok動画の費用に充て」たと、

すでに答弁されています。

では、この「広報費73万5000円」は、何のために例示したのか?

ここまで書いて、やはり、この答弁の意図がわかりません。

約1か月考えてもわかりません。

お互いの認識のズレから生じた勘違いや言い間違いがあったとしたら、訂正が入るはずです。

(後ろに市の幹部が何人もいるのですから)

でも、訂正はありませんでした。

なので、このよくわからない議論が、このままむつ市議会の議事録に記録されます。

高橋

市議会の会議録の保存年限は「永年」です。

自分は、議論で相手を負かしたいとか、自分の地位を高めたいとか、そういう意味で質問しているわけではありません。

悪いところは改善してほしいし、市民あっての市役所、市民あっての市議会なので、ちゃんと説明責任を果たしてほしい。

そういうつもりで質問しています。

自分は市に対し、日頃「説明が足りない、資料が足りない」と言っています。

それに対し市長は、「聞かれたことには丁寧に説明する」と言っています。

今回のTikTokの予算は、議会に一度もかけられていないので、議員の側から聞くチャンスがありませんでした。

市がHPにアップしただけです。

しかも、アップした情報は、やると決まった後の、委託事業者の公募のお知らせです。

市民に、議会に、教える気はないのか。

HPを見た時、自分はそう感じました。

さいごに

既存のメディアでは若者に情報が届かない、という着眼点は大切だと思います。

ただそのことと、

「議会=市民」への説明と異なる事業を始めることとは、

別の問題だと思います。

大学生との意見交換で気づいたとのことでしたが、

学生の意見は、好き勝手やっていいことの免罪符にはなりません。

逆に、市としてそれまで気がつかなかったのか、という別の疑問もあります。

視聴者層の分析を、学生に言われるまで一度も行わなかったのか?

委託事業者からは助言がなかったのか?

事前に分かっていれば、令和8年度当初予算として、3月議会で審査することができました。

もっと早く事業に着手することもできました。

自分は議場で、「広報戦略」という言葉を使いました。

「スピード感」と「思い付き」は違うと思います。

そもそも、新規事業はすべからく当初予算にのせるべきものです。

だから、先を見越して計画的に事業を組み立てなければいけない。

新年度になってすぐ、予定になかった事業をやるというのは、計画性の無さを露呈するもの。

これは、若い時に、自分が言われたことです。

時代が変わったと言えばそれまでですが、

今市役所に残っている人たちが、意見具申する気力すら失っているのではないかとの危惧もあります。

過去、若造相手に散々威勢のいいことを言っておいて、今これかと思うと虚しくもなります。

ところで、

令和8年9月18日、使用済み核燃料中間貯蔵施設の共用化を巡り、電力事業者から市へ「中長期計画」の提出がありました。

ただし、その場で傍聴できるのはマスコミのみ。

我々市民は、入場すらさせてもらえませんでした。

アクセスできる情報は、すべてメディアを通したものだけ。

市からは、主体的な情報発信はありません。

面談の様子の動画配信も、市長の会見も。

もちろんTikTokも。

だから、ここから問い直さないといけないのかもしれません。

「広報」とは何なのか。

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