むつ市議会議員の高橋です。
今回は、市の「効果検証」について考えます。
市に取り組みの成果を聞くと、ほぼ間違いなく「成果があった」との回答があります。
おかしいと思いませんか?
そんなに生活が良くなってますか?
結論ありきの効果検証
結論から言うと、市の効果検証には「結論ありき」が紛れ込んでいると見るべきだと思います。
つまり、「成果があった」「効果があった」という結論が先にあって、
それにあわせて、後から理由をつけていく、理屈を作っていく、という感じです。
税金で仕事をしている組織ですから、「成果が出せなかった」と自己評価するのは都合が悪いんだと思います。
それに当たり前ですが、自分の失敗を自ら明らかにすることは怖いし恥ずかしいです。
それは共感します。
ただ、それではダメだということはわかりきってますよね。
失敗を認めて、改善を図らない限り、本当の成功は得られないことも。
では、実際どのような検証をしているのか、実際の事例をもとに検証してみましょう。
スポーツでも同じだと思います。
なぜ負けたのか。
なぜミスをしたのか。
その現実を直視し、分析し、改善しなければ、次も同じ失敗を繰り返すだけです。
それはチーム全体の沈下につながります。
目標未達でも高評価|個別の事例で解説
地方創生/人口減少

令和7年9月公表のむつ市総合経営計画の評価の一部です。
https://www.city.mutsu.lg.jp/government/seisaku/files/R6sinkou.pdf
上記は、地方創生(人口減少対策)に関する評価です。
【ページ左上段】 2.基本計画における指標(KPI)
KPIは「人口」に設定されています。
できるだけ人口の減りを遅くすることが目標とされています。
しかし、実際の人口(下段)は、目標(上段)を下回っています。
(令和6年度:目標51,755人、実績50,959人)
つまり、目標を一度も達成できていないことがわかります。
【ページ左中段】3.年次目標【令和6年度】
KPIを達成するために、3つの事業が列挙されています。
実績の欄をご覧ください。
ここでも目標が未達であることがわかります。
ここで、もうひとつの疑問が生じます。
この事業、人口減少対策にどう関係あるの?
【ページ右中段】6.施策の進捗状況(内部評価)
ここが一番重要なポイントです。
市役所内部で、どう評価したのかということです。
目標は達成できていませんでした。
当然、反省の弁が述べられるはず。
と思いきや、内部評価はこれです。
| 進捗区分 | B評価=「一定の進捗がある」 |
| 評価理由 | イベント来場者数や企業版ふるさと納税寄附件数は目標値には届かなかったものの、例年と比較して寄附額は大幅に増加し交付金も採択されたため、事業実施のための財源を確保することができた。 |
いかがでしょうか?
これが税金を使って仕事をしている、市役所の事業評価です。
所感
延々と愚痴を吐き続けることになるので、簡潔に書きます。
地方創生=人口減少対策という施策で、
人口という数値を目標にして、
その数値が目標を下回っている。
それなのに、「一定の進捗がある」とはどういうことなのか?
数値目標を達成していないのにポジティブな評価をすべきではありません。
また、評価の理由を要約すると、「寄付と交付金で事業の財源を確保した」です。
人口減少という施策で、人口の数値目標に対して、なぜお金が出てくるのか?
なぜ、お金が増えただけで、人口減少を抑制できるのか?
取り組んでいる事業内容(手段)が、目標にまったくリンクしていません。
サッカーに例えれば、馬鹿馬鹿しさがわかりやすいと思います。
絶対に勝たないといけない試合があるとします。
全員が自陣にひいてガチガチに守備を固めたら、点がとれないので、勝てないことはやる前からわかりきっています。
手段(守備固め)が、目標(点を取って勝つ)にリンクしていないからです。
で、試合が終わって引き分けて、勝てなかったけど、負けはしなかった、次はがんばる。
と言っているとの同じです。
初めから、目標を達成できない構造になっています。
そして、結果が出ても現実を直視しない。
結論です。
KPIを達成するための事業計画を作るところから間違っています。
そして検証した結果の評価も間違いです。
「評価が甘い」ではないです。
ご都合主義の間違った評価です。
高橋この効果検証はたぶんわかって作っています。
わかってて、でも効果がなかったとは書けなかったんでしょう。
気持ちはわかります。
交流人口/観光

次は、令和7年11月に公表された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の評価です。
https://www.city.mutsu.lg.jp/government/seisaku/files/00_kanseiban.pdf
【左ページ上段】KPIの概要
観光入込客数と、年間宿泊者数が目標値に設定されています。
ほぼすべての年度において、目標未達となっています。
【右ページ上段】内部評価
内部評価はB評価です。
概ね成果が得られたとみなせるので、地方創生に相当程度効果があった
観光客と宿泊者の数値目標が達成できていないのに、
「成果が得られた」「地方創生に相当程度効果があった」という高評価。
結論ありき以外には、合理的理由が思いつきません。
【右ページ中段】5年間の総括評価
実績値としては目標値を下回ってはいるものの、当該団体によるWebサイトや各種SNS等での下北半島内の
各地域の観光・食・イベントなどの情報をきめ細かに発信することにより、下北半島の魅力を伝え、認知度向上に貢献することができた。また、定期的にDMOが販売する旅行商品等の紹介や海外への販路拡充に資する事業を展開できており、交流人口拡大への取組を推進することができた。
そのまま引用しました。
目標を下回ったのであれば、まずはそれがすべてです。
でも論点を他のことにすり替えて、うやむやにしたい意図が見て取れます。
所感
まず、数値目標が達成できていないことについての直接の反省や検証がありません。
成果が出ていないのに、「相当効果があった」とは、もはやお笑いぐさです。
事業効果はなかった、失敗したと結論づけるべき類のものだと思います。
なぜ目標達成できなかったのかについての反省もなければ、フィードバックを次につなげることができません。
まさにやりっぱなしです。
そして、総括評価の論点ずらしもひどいです。
数値目標に直結しない「魅力を伝えること」と「交流人口拡大の取組の推進」を持ち出し、やった感を「演出」しています。
これが俗に言う「官僚の作文」です。
成果がなかったことを、あったかのように「見せる」やり方です。
もうひとつ言及すると、「認知度向上に貢献することができた」とあります。
なんとなく、読み飛ばしてしまいがちですが、
突然全く関係のない指標を持ち出し、論点をすり替え、効果があったように演出しています。
ところで、「認知度」とはどうやって測定するのでしょうか?
その数値はもともといくつで、どれくらい向上したのでしょうか?
自分の経験上、「認知度」を測定し評価する指標は、これまで聞いたことがありません。
観光事業全般において、認知度のような曖昧な指標を参照している事例は記憶にありません。
そしてそんな指標を根拠として採用するのは、行政くらいのものでしょう。
ちなみに、「交流人口」は役所の逃げ道として使い勝手のいいフレーズです。
定義が曖昧で、宿泊者数のような実数でカウントされないからです。
なので、「交流人口拡大に努めた」とか書いておけば、なんとなくOKになりがちです。
移住

最後に移住の取り組みについてです。
これも「まち・ひと・しごと創生総合戦略」です。
【左ページ上段】KPIの概要
移住の相談件数と、空き家バンクの登録件数がKPIに設定されています。
ここに関しては全滅です。
すべての年度で目標が未達成です。
【右ページ上段】内部評価
繰り返しますが、KPIの達成状況は全滅です。
でも、内部評価は「地方創生に効果があった」です。
事業開始前よりも取組が前進・改善したとみなせるので、地方創生に効果があった
高橋言ってて恥ずかしくないのかな?
【右ページ中段】5年間の総括評価
そのまま引用します。
目標としていた移住相談件数には到達しなかったが、県主催の移住イベントへの参加を通じて、都市圏在住の移住希望者や関心層に対し積極的な情報発信を行った。これにより、関係人口の創出に取り組むとともに、将来的な移住者の確保に向けた基盤づくりが進んだ。
空き家・空き地バンクの登録件数については、空き家等利活用推進事業の実施や広報を行い、目標値までは至らなかったものの、年々件数を増加することができた。
高橋キバンヅクリ?
所感
内部評価の欄にはA~Dの4指標が用意されています。
「D 地方創生に対し効果がなかった」もあります。
でも、効果があったという評価。
目標がすべて達成できなくてもなお、効果がないとは認めない、好事例でもあります。
高橋これで通ったという意味では、傑作と呼べるかもしれません。
空き家バンクの件数が年々増加していることを評価していますが、目標を達成できておらず、もはや何のための目標かわかりません。
たしかに年々増えてはいますが、一方で実績値が目標値を大幅に下回っていることへの言及はありません。
目標150件に対し、実績は44件。
目標達成率は29.3%。
目標を3割すら達成できていません。
これでいいなら、初めから目標なんていらないでしょう。
時間のムダだからです。
あともうひとつ。
「積極的な情報発信を行った→将来的な移住者の確保に向けた基盤づくりが進んだ」
これがどういうことなのか、
何がどうなったのか、
移住施策の具体的に何がどう前進・改善して、
どう地方創生に効果があったのか、
「基盤づくり」とは何なのか、
わかりやすく誰もが納得する説明をできる人間が、この世に何人いるのでしょうか?
地方創生の発端は、人口減少によりいつか地方が消滅するかもしれないという危機感でした。
(人が減れば、仕事が減って、街が衰退して、また人が減って、という危機感です)
こういう言葉遊びをするためのものではなかったはずです。
そして、言葉をしていられるほどの余裕は、今のむつ市にはありません。
失敗をどうしても認められない、認めたくない。
気持ちはわかります。
でも、それで成果が出ることはありません。
絶対にありません。
それだけでなく、反省を次に活かす機会を失うので、また同じような失敗を繰り返します。
「成果があった」と言ってしまった以上は、それをベースに次の施策を組み立てなければなりません。
軌道修正したら、失敗がバレてしまうからです。
だから、失敗や間違いの上に、次の仕事を積み重ねることになります。
結果は火を見るよりも明らかです。
税金を使った仕事です。
だったらやらない方がマシです。
そのリソースを、すべて学校に、教育費に回してください。
高橋こういう訳のわからない仕事のかげで、学校に人も予算もなくて現場が大変な思いをしているのを見聞きすると、憤りを覚えます。
日本軍が誤った戦果を信じて、さらに次の失敗を招いた例に、台湾沖航空戦があります。
これは、戦果の評価を正しく行うことができなかったために、戦果が水増しされ、実際は戦果がほとんどなかったにも関わらず、敵機動部隊を壊滅状態に追い込んだという大本営発表がなされたという事例です。
海軍は途中でこの誤認戦果に気がつきますが、陸軍には共有しませんでした。
陸軍はこの誤認戦果を好機と捉え、フィリピンでの作戦計画を大幅に変更。
敵は壊滅状態にあるからと、ルソン島での持久作戦からレイテ島での米上陸部隊との決戦に作戦を変更します。
結局はレイテ島で大敗。消耗し切った陸軍は、当初計画していたルソン島での持久戦もままならなくなります。
まとめ
市の事業評価や効果検証は、初めから疑ってかかるべきだと思います。
「成果があった」という、結論ありきなのではないかと。
成果があったのか疑いの目で見て、それで本当に成果があったなら、それでヨシ。
でも、初めから市の評価を鵜呑みにすると、うまくごまかされてしまいます。
今回取り上げたのは、そのわかりやすい事例です。
「市役所の批判は良くない」と言う方もいるかと思いますが、
批判しないことは、認めたことと同じです。
成果がないのに、成果があったと認めてしまうことは、
予測可能な市の停滞を認めることと同じです。
成果を出すのは確かに難しいと思います。
でもそのことと、「なかった成果をあったことにすること」は、全く別の話です。
ひとつひとつは些細なことだと感じるかもしれません。
でもこの積み重ねが、むつ市役所の仕事です。
人口減少対策である地方創生の計画、そしてむつ市の最上位の総合経営計画ですら、こういうことが起きています。
立派な計画は、作って終わりではありません。
そんなのだったら、作らない方がマシです。
時間のムダですから。
でも、そんなやり方で回ってる。
それが今のむつ市の現実です。
キレイな言葉にまどわされないように。
「巧言令色鮮し仁」です。
ただ最悪なのは、評価もせず公表もせず、やってやりっぱなしの仕事なんですけどね。

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